子宮内膜着床能検査(Endometrial Receptivity Analysis) | 長谷川産婦人科医院

子宮内膜着床能検査(Endometrial Receptivity Analysis)

1.ERA検査とは?

子宮内膜着床能(ERA)検査は、子宮内膜の着床能のタイミング評価を目的とし、アイジェノミクス社が開発し、特許を取得した検査法です(PCT/ES2009/000386)。
分子生物学的ツールとして次世代シーケンサーを用い、子宮内膜の着床能に関連する236個の遺伝子の発現レベルの分析を行います。
具体的には、子宮内膜の組織検体から抽出したRNAを次世代シーケンサーによって解析し、遺伝子の発現プロファイルから受容期(Receptive)または非受容期(Non-Receptive)に分類します。

2.ERA検査の目的は?

ERA検査は、子宮内膜の生検時が受容期(Receptive)または非受容期(Non-Receptive)かどうかを遺伝子発現プロファイルから判断することを目的とします。子宮内膜が非受容期(Non-Receptive)であると判断された場合には、2回目のERA検査により患者様の着床ウィンドウを明らかにすることが可能です。

3.ERA検査の対象となる患者様

ERA検査は、形態的に問題がない胚(3BB以上の胚盤胞)を移殖したにも関わらず着床不全を経験した患者様を対象とし、かつ子宮鏡検査でも子宮内に異常がないことを確認した方のみとなります。

4.ERA検査のメリット

ERA検査は、着床能に関与する遺伝子の発現プロファイルを高感度で検出し、分析しています。ERA試験を受けることにより、患者様個人の着床ウィンドウを知ることができます。本検査は、子宮内膜日付診(組織学的基準に基づく従来型の 方法)と比較して、極めて高い感度を誇ります。従来法は非常に主観的な方法であり、妊娠のし易さを識別することが困難な場合があります。

5.サンプル抽出と輸送

子宮内膜(子宮頚部を除く)から採取した子宮内膜生検検体を速やかにERAクライオチューブに移し、少なくとも4時間以上は冷蔵保存する必要があります(4~8°C)。それをアイジェノミクス社専用ラボに輸送し、検査を行います。

6.着床する時期を明らかにする

ERA検査は、子宮内膜の生検時が受容期(Receptive)または非受容期(Non-Receptive)かどうかを遺伝子発現プロファイルから判断することを目的とします。子宮内膜が非受容期(Non-Receptive)であると判断された場合には、2回目のERA検査により患者様の着床ウィンドウを明らかにすることが可能です。

7.ERA検査のデメリット

ERA検査周期は、胚移植は行えませんが移植周期と同様に子宮内膜を移植に適した状態にするための治療が必要になります。そのための薬剤費用や診察料が別途必要となります。検査の精度は88.5%、感度99.75%と言われていますが採取した子宮内膜検体が適切でない場合には再度検体を採取する必要があります。

8.ERA検査の費用

ERA検査費用は、検体採取料や検体輸送料と検査費用も含めて121000円(消費税込み)となります。子宮内膜を移植に適した状態にするための薬剤費用などは別途必要となります。