反復着床不全への取り組み

子宮鏡検査の項目で触れましたが、良好な胚を4個以上かつ3回以上移植しても妊娠しない場合を「反復着床不全:repeated implantation failure:RIF」 と言われます。

反復着床不全の原因として
① 受精卵側の問題
② 子宮内の環境の問題
③ 受精卵を受け入れる免疫寛容の異常
が考えられています。

②慢性子宮内膜炎への取り組み

反復着床不全の方の約30%に慢性子宮内膜炎の所見が認められるとの報告が2010年されました。(Johnston-MacAnanny EB, Hartnett J, England’s LL, et al:Chronic endometriosis is a frequent finding in women with recurrent implantation failure after in vitro fertilization. Fertil Steril 2010:93:437-41 )その後反復着床不全の方で慢性子宮内膜炎が確認され抗生剤投与により治癒が確認された方は着床率の改善が認められるとの報告も出てきています。

<対象者>
当院で良好胚移植を2回行ったが妊娠に至らなかった方。年齢や過去の治療歴によっては回数に関係なく対象となる場合もあります。

<検査方法>
月経周期6日〜12日の間に子宮鏡検査を受けていただきます。

子宮鏡で慢性子宮内膜炎を疑う所見を得た方は、黄体期(排卵後)に子宮内膜組織診を行います。摘出した子宮内膜組織を特殊染色で検索しCD138陽性細胞が確認された方には抗生剤(ビブラマイシン2錠2×14日間)投与行います。

次周期に再度子宮鏡検査を行い治癒を確認します。

<費用;全額自費診療となります。表記は税別価格です>
子宮鏡検査:初回10000円、2回目以降8000円
慢性子宮内膜炎組織診:12000円
抗生剤ビブラマイシン:1錠100円

<注意事項>
検査周期は必ず避妊をしていただきます。

子宮鏡で異常所見を認めなかった方は③の原因検索を提案させていただきます。

③受精卵を受け入れる免疫寛容の異常

受精卵に対する子宮の受容性は、T細胞を介した免疫応答が担っています。反復着床不全の方で免疫のバランスをチェックすると Th1/Th2 比が有意に高くなっていたとの報告があります。(Nakagawa K, Kwan-Kim J, Ota K, et al: Immunosuppression with Tacrolims Improved Reproducrtive Outcome of Women with Repeated Implantaion Failure and Elevated Peripheral Blood Th1/Th2 Cell Ratios. Am J Reprod Immunol 2015: 7: 353-61)

また、ビタミンDには免疫寛容に関連する Th2細胞やヘルパーT細胞 を調節する制御性T細胞を増やし、一方、免疫拒絶に関連するTh1細胞を抑制することが報告されています。

<検査方法>
採血でTh1のIFNγとTh2のIL-4比を測定します
貯蔵型ビタミンDである25OHビタミンDを測定します

<治療対象者>
Th1/Th2比が7〜12の間にないと妊娠するための免疫寛容がうまく働かない可能性があります。
25OHビタミンDが30ng/mL未満の方です。

<費用;全額自費診療となります。表記は税別価格です>
両方の検査を同時に行います。20000円です。

<注意事項>
平日のみの受付となります。お間違えのないようにご来院ください。